冬が過ぎればまた春は来るんだよ

 

☆この記事はぽっぽアドベント その1の14日目の記事です。

 

去年に引き続き、ぽっぽアドベントに参加できて嬉しいです、14日目担当のはると申します。

はとさん、今年も楽しい企画をありがとうございます。去年意を決して参加してみて本当に本当に楽しい12月を過ごすことができました。今年はなんと3つのアドベントカレンダー!管理も大変だと思いますが毎日楽しんで読ませてもらっています。本当にありがとう、はとさんはいつも楽しいことを共有してくれる大好きな人です。

アドベントカレンダー2つ目と3つ目はこちら。

 2つ目はご飯でススムさんと他9999人

3つ目は松倉東さん 

 

今年のぽっぽアドベント記事に入る前に去年のぽっぽアドベントの話をしたいと思います。去年わたしは「HiGH & LOW THE WORST」(以下ザワ)とそれに出演していた俳優・山田裕貴さんの舞台「終わりのない」を観に行った話を書きました。


去年の記事はこちら。ザワまだ観てない方はぜひこの機会に観てほしいです。

 

その後どうなったかというと、12月後半にLDHグループのコンサート付きライブビューイングに参加して「あ、わたしってこんな声出るんだ」という声を出し、2月に轟役・前田公輝さんの舞台と、小田島役・塩野瑛久さんの舞台を観劇し、前田さんのファンミーティングに参加しました(ファンミーティングは友人の精神的介抱をしながら自分の正気を保っていたところもあり、誘ってくれた友人には本当に感謝しています…)。

 

 

さて、今年のテーマは「変わった/変わらなかったこと」。

この一年、変わらない日々を送れた人はもしかするといないんじゃないでしょうか。わたしもこのCOVID-19禍によって漏れなく変わったひとりです。

仕事はただの時差出勤ですが、毎週のように足を運んでいたライブハウスにほとんど行けなくなり(予定していたイベントは延期・中止ばかり)、映画を観に行く機会もめっきり減ってしまいました。学生の頃から小さなライブハウスでたくさんの時間を過ごしてきた自分としてはこの一年は本当に辛かったです。16歳の頃初めて訪れたライブハウスがクラウドファンディングをやっているのを見た時、自分にできることがあまりにもささやかすぎて潰れそうな気持ちになりました。

 

そんな変わってしまった生活において自分を支えてくれた存在によって、自分がずっと避けてきたことと向き合えるようになったという変化について書きたいと思います。

 

 

この記事を読んでくださっているみなさんは、BTSという韓国のアイドルグループをご存じでしょうか。

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左から、V、SUGA、JIN、JUNG KOOK、RM、JIMIN、J-HOPE

防弾少年団(本国では今もこの名前で呼ばれます)、BTSは2013年にデビューしたグループで、「防弾少年団」とは「10代・20代に向けられる社会的偏見や抑圧を防ぎ、自分たちの音楽を守り抜く」という意味が込められています。(Wikipediaより)

去年のぽっぽアドベントの最後にBTSとの出会いについて既に書いていて、もし2020年もぽっぽアドベントがあったら絶対BTSについて書きたいと思っていたので、1年越しの夢が叶ったわけです。

 

 

 彼らとの出会い

去年のぽっぽアドベント記事にも書いたのですが、ザワにハマり、ザワで主要キャラクターを演じたメンバーが在籍しているTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEが出演していた音楽番組にBTSも出演していました。2019年12月4日のFNS歌謡祭、それが出会いです。

 左からV、SUGA、JIN、JUNG KOOK、RM、JIMIN、J-HOPE

BTSのことは以前から知っていましたがそれまでパフォーマンスをきちんと観たことはありませんでした。なぜ知っていたか、国連でのスピーチ*1とTIME誌の表紙*2を飾ったニュースを見たからです。

 

 

 

BTS聴いたことない/パフォーマンス観たことない」という方でもこのどちらかはご覧になったかもしれません。この2つのニュースを見た時のわたしは「アジアのアイドルが国連でスピーチしたりTIME誌の表紙を飾ったりするんだ」という、感心のような気持ちを抱いただけでした。

そしてずいぶん経ってからFNS歌謡祭で彼らのパフォーマンスを観て「いいじゃん」と思ったのです。普段バンドばかり聴いてるので、自分で自分に「ちょっと意外だな」と思ったりもしました。

日本の音楽番組だったのでその時の映像はありませんが、こちら他の番組でのお気に入りパフォーマンス映像です(FNSでは日本語ver.を披露)。

 

FAKE LOVEのパフォーマンスがめちゃくちゃ好きです…こちら年末の祭典の時なので普段のとちょっと違っててまためちゃくちゃいいです

Boy With Luv.のカムバ期はビジュアルが一番好きな時です、こちらお衣装もめちゃくちゃ好きな回。

 

初観の「いいじゃん」から2週間、曲を聴いたりMVやパフォーマンス映像を観たりCSチャンネルで放送されたコンサート映像を観たりして徐々にというよりは結構勢いよく沼に突っ込んでいったわけですが、まだ「いやそこまでじゃないよ」と思っていたわたしにとどめをさしたのはちょうどその頃日本で開催されていたファンミーティング「MAGIC SHOP」大阪編のディレイビューイングに参加したことでした。

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MAGIC SHOP

既にチケットの先行販売などは終わっていたのですが、映画館のHPからなんとか確保でき「このタイミングを逃したらなんか勿体ない気がする」という直感(大抵当たる直感)で、まだ完全にメンバーの判別がつかないまま観に行くことになりました。

 

映画館のスクリーン越しでしたが、本当に本当に、最高でした…めちゃくちゃ楽しかったです。そもそもアイドルのコンサート自体初めての体験だったわけで(大きくても大阪城ホールでライブの経験しかない)、途中流れる映像(着替えや転換の時に流れる)や、めちゃくちゃかっこいい舞台装置・演出のすべてに驚きっぱなしでした。

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本国ファンミーティングの模様。この装置でせり上がりコンサートが始まる(公式FBより)

何よりも彼らのパフォーマンスに圧倒され続けた2時間半でした。

ファンミなので結構昔の曲とかも披露していて、最新アルバムしか聴けてなかったわたしにはほとんどの曲が初めて聴く曲だったんですが(分かったのってたぶんHOME、Boy With Luv.とBest Of Meくらいなんですが、後者2曲はアンコール&ラスト曲だった)、そんなの関係なく最初から最後までめちゃくちゃ楽しめました。

そこからスマホのフォルダが彼らの写真でいっぱいになるのも本名で呼ぶようになるのにもそんなに時間はかからなかったし、日本の公式FCに入るまでもすぐでした。

 

好きになって驚いたこと。これはたぶん他のKpopグループもそうだと思うんですが、とにかく公式からの供給量が膨大。Youtubeの公式チャンネルにはMVや練習動画の他にも撮影の裏側のちょっとしたやりとりまで映像としてあがっていて供給過多すぎて目を回しました。何よりも驚いたのは、公式SoundCloud には自作曲やソロ曲、カバー曲までたくさんUPされていることで、彼らの楽曲制作に対する高い意欲が感じられました。(曲が作れる人に弱い)

 

 

2020年の2月、好きになって初めてのカムバック(韓国では作品をリリースし一連のスケジュールを行うことをそう呼びます)を経験します。

「MAP OF THE SOUL:7」のリリースが近づくにつれ日々投下される新しいコンテンツの意味があまり分からないままアルバムの予約をしたんですが、その段階でまず生まれる疑問「形態が4つあるって何?」、現物の「大型書籍買ったのかな?」というサイズ感の段ボール…同封されている様々なコンテンツの山をかき分けてCDを探したこと、今も鮮明に覚えています。

言葉が分からないので色んな方の翻訳を読みながらそのメッセージの温かさに心をゆさぶられ、作詞作曲にメンバーが携わっていることに驚き…新しいアルバムを聴きながら、彼らについてより知っていく中でどんどん「コンサートに参加したい」という気持ちが膨らみました。日本公演、とりわけ大阪公演は最多の公演数が予定されており、絶対1回は行きたいという想いを強くしているさなか…COVID-19の感染拡大。

予定されていたツアーは最終的に全日程中止となりました。

 

COVID-19禍中、彼らとの2020年

そのことに誰よりもショックを受けていたのはもちろんBTSの7人でした。Weverse*3

に現れては何度も「会いたいです」という言葉を置いていった彼ら。公演は彼らにとってファンとの交流の場であり、それを突如奪われることの辛さはファンになって日が浅いわたしでも察するに余りあるほどでした。

でもそんな日々の中でも、彼らは様々な形でわたしたちに励ましと癒しを届けてくれました。

4月には2日に渡って過去のコンサート・ファンミーティングのオンライン配信を実施、6月にはオンラインコンサート"Bang!Bang!Con!"を開催、8月には初の英語詞曲"Dynamite"を配信リリース。

 下半期たぶんめちゃくちゃ流れてた曲だと思います

10月には2日間のオンライン公演「MAP OF THE SOUL ON:E」を開催し、本来ツアーでお披露目するはずだった最新アルバムの曲たちを披露しました。

そして、すべてのスケジュールが白紙になった春に「楽曲制作だけでなくすべての制作にメンバーが携わるアルバムを作ります」とyoutubeでログを公開、その過程をファンと共有し、この11月にアルバム"BE"をリリースしました。

 

 

リリース当日、リード曲の"Life Goes On"のMVを観て、自分でも驚くほどに声を上げて泣きました。

 設定から日本語字幕が出せます。ぜひ歌詞の意味を拾いながら聴いてほしいです。

 

正直、この生活様式に慣れきってしまった自分がいた。今まで自分が身を置いていた場所や関わってきた人たちの苦境に対して自分ができることのあまりの少なさに、そこから逃げていた自分もいた。世界が同時に晒されている困難とは別に、自国の政府や自治体の命を軽視した政策にどれだけ怒っても怒っても追いつかず、日々追い詰められている人たちに対して申し訳なさを感じながらも、自分の生活に必死な自分もいた。もうとっくにさよならしていると思っていた、かつて毎日一緒に過ごしていた希死念慮が気づくとわたしの心の隣に座っていた。毎日目を閉じながら「今日もなんとかやり過ごせた」と思いながら眠っていた。

心が麻痺していたことにももう気づかず、それが当たり前だとすら思っていた。すっかりあの戸惑いや不安なんてどこかに隠してさえいた。そうしないとこの日常をやり過ごせないと思っていた。

 

この曲を聴いたときに思ったのは、彼らも同じように不安や痛みを抱え、それを共有し「頑張ろう」とは言わず「大丈夫」と言ってくれているということでした。

常々、BTSの音楽は背伸びのない、わたしと変わらない青年たちだということが伝わる歌詞だと思っていたけど、こんなに傍にいてくれているという気持ちになれたのは初めてでした。

本当に、傍で歌ってくれるようだった、「Like an echo in the forest/ 一日が戻ってくるだろう」「それでも日々は続く」と。

アルバムを通して聴いた時のあの温かさ。彼らが最も携わったアルバムはどの曲も愛おしく優しくて、その夜は安心した気分で泣きながら眠ったし、次の日もずっと聴きながら泣いた。

オンライン公演も日々のコンテンツも、自分にとっては大きな癒しだったことに変わりはないけど、でもそれは舐めている飴玉のようにすぐ溶けていった。それくらい、憂鬱になるニュースが多かった。でも”BE”を聴いて「わたしたちみんな辛かったよね、そうだよね。わたしも辛かったね。」と自分に言ってあげられた気がした。このアルバムは溶けて消えたりしなかった。再生ボタンを押せばいつでもその温もりを抱きしめられる気がした。

 

 

彼らとの出会いで最も変わった「自分を愛すること」

BTSに出会ってもっとも変わったと感じているのは「自分を愛すること」について向き合えるようになったということ。

「自分を愛する」って本当に難しいし、「自分を大切にする」ということが苦手でした。

子どもの頃にいじめられたことが原因で自己肯定感がものすごく低く、ずっと自分を好きになれないまま大人になりました。相手と和解もしたし、責めてもいない許せてさえいても、その時の経験は今も時折顔を出しては、様々なことをめちゃくちゃにしていく。大事にしたい人間関係を似たような理由で損ねてばかりいるし、あの頃の記憶がほとんどないほど自分の中では今も傷を修復できていないことに気づいたのも最近です。

 

それでもここ数年はなんとなくセルフケアを実践するようになりました。いい匂いがするものを買ってつけたり、ちょっといい化粧品を買ったり。美味しい紅茶を飲んで自分の機嫌を取る努力をしてみたり、あとは好きな人たちに前にもましてささやかな贈り物をするようになった。そういうことを頑張ったのが29歳の一年だったと思う。

でもそれくらいしかできなかった。4月に体調を崩した時も、何カ月も生理が来ないことが普通だという話をして病院を勧められた時も、結局行かなかった。自分を愛すること・大切にすることに「自分の体を大切にすること」も含まれていると思うんですが、それも自分にはどうしてもできませんでした。

 

でもそういうものを少しずつほどいてくれたのが、BTSだった。 

 

序盤でBTSが国連でスピーチしたという動画をシェアしましたが、あれはユニセフと共に2017年から『LOVE MYSELF』キャンペーンをスタートし、世界中の子供・若者の保護を目的とする『END VIOLENCE』の一環としてNY国連本部で行われたものでした。

スピーチしているのはリーダーのRM。彼は自分自身の話をして、最後にこう締めくくっています。

僕はキム・ナムジュン。BTSのRMです。

アイドルです。韓国の小さな町で生まれたアーティストです。他の人と同じように、人生でたくさんのミスをしてきました。たくさんの失敗も恐れもあるけれど、自分を力いっぱい抱きしめることで、少しずつ自分自身を愛せるようになりました。

あなたの名前は何ですか?自分自身のことを話してください。

BTSを好きになってから改めてこのスピーチを観て、自分の中のこわばりがほんの少しほどけはじめた。正直、彼らほど世界中に愛してくれるファンがいてもそんな風に自分を愛するのって難しいことなんだ、という安堵にも似た感情がわいた。

 

RMは"LOVE YOURSELF"ツアーNY公演での終わりの挨拶でこんなことも言っていました。

"LOVE YOURSELF"ツアーを通してどう自分を愛せばいいのかを学びました。自分を愛することについて何も分かりませんでした。でも皆さんが教えてくれました。皆さんの目線や愛、ツイートなどを通して教わりました。自分の愛し方を気づかせてくれました。『LOVE MYSELF』は自分が死ぬまでずっと続きます。“自分を愛する”とは何でしょう。『LOVE MYSELF』の仕方を定義できる人はいるでしょうか。その方法を見つけ定義するのが僕たちの使命です。僕が自分を愛せるのは皆さんがいるからです。

僕とBTSを自分を愛する理由にしてください。皆さんが教えてくれたことです。

自分を愛することは死ぬまでずっと続くこと、そこにゴールなんてないこと。当たり前のようなことなのにわたしはずっと気づかなかった。でも気づいたら、それまでの霧がふわっと晴れていくような感覚だった。それは難しいことで当然だったんだ、そんな簡単にできて、そんな簡単に終われるようなことじゃなかったんだって。

 

このメッセージの後に歌うのは"Answer:Love Myself"。

You've shown me I have reasons I should love myself

I'm learning how to love myself

 

わたしが彼らを好きな理由のひとつが「自分を愛すること」の大切さについて歌っていること。「誰かを愛すること」の尊さを歌う曲はたくさんあるけど、「自分を愛すること」の大切さを歌った曲に初めて出会った。

JINくんのソロ曲Epiphanyもそうで(先日誕生日を迎えたJINくんに寄せた記事に書いた

自分を愛するしるべ、わたしたちの月へ愛の言葉を - NOWHERE)、あの曲はわたしにとって「自分を大切にする気持ちの芽生えない乾いた砂漠のような心を海に変えてくれた」曲です。

 

最近「自分にとってのBTSってどんな存在かな」と考える機会がありました。何日か悩んでふと思ったのは、「”自分を愛する”という旅路における灯台/星図盤」。暗い航海で道しるべになってくれる光のような存在だと。

 

それでも、病院に行こうと思えるようになったのは本当にここ最近のことです。アルバム"BE"のコンセプトフォトが公開になった時、JINくんからの「みなさんひとりひとりがかけがえのない宝石だということを忘れていませんか?」というメッセージを読んでめちゃくちゃに泣いたあと、きちんと病院へ行こうとふと思えました。

今まで誰にどう言われてもそういう気持ちになれなかったけど、JINくんのそのメッセージはわたしの強張りを優しく解いてくれました。まるで”今がその時だよ”という、器に十分満ちたかのように。

今はちょっと、こんな時勢なのでなかなかですが、春までには必ず行こうと思っています。それが自分にできる「自分を愛する」ことの大切な一歩だと思っています。

 

 

 

朝を連れてくる、夜明けの青の人

BTSとの話だけで既にかなりの字数に達してますが、どうしてもこの人についても書きたくてまだ続けます。

わたしの2020年を最も大きく変えた人、SUGAさんについてです。

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アルバム”BE”コンセプトフォトのSUGAさん

SUGAさん(普段は本名のユンギさんと呼んでますがここではSUGAさんと呼びます)はBTSのラッパーであり作詞作曲家・プロデューサーでもある。 BTS以外でのfeat.やプロデュースも多く、2020年はIUのプロデュース&feat.で"eight"、そしてアメリカのシンガーMAXとのfeat.で"Blueberry Eyes"がリリースされています。

ソロ名義はAgustD、今年5月にはほぼサプライズでAgustDの2作目のMIXTAPEを発表し、ファンをわかせました。

 

 

眠れないわたしに朝を贈ってくれた人 

わたしがSUGAペンの沼にどんどん沈んでいくその大きなきっかけになったのは、4月から夏まで続く原因不明の体調不良でした。

仕事には辛うじて行ってましたが、夜眠れないほど辛く、休日は一日起き上がれないこともありました。眠れてもしんどくてすぐ目が覚める。

そんな体調不良で眠れなくなりはじめた4月25日、SUGAさんからの贈りものが届いたのです。

 

V LIVEのアプリをタップして画面を開いても"VOICE ONLY"の文字が浮かぶだけ。「春の日」という曲のあと、SUGAさんの声が聴こえてきた。 

 

澄んだ日差しと、爽やかで暖かな風が吹く4月になりました。退屈しているアミのために退屈しているSUGAがサタデーナイトライブ、クルFMで一緒に過ごします。

(中略)

活動史上本当に最長の空白期間、アミたちも僕たちを見られる機会がなくなりアミもバンタンも、この現実がとても寂しくて残念な状況ですよね。

でもこういう状況を誰のせいにもできないし、本当に心が複雑になって徐々に全般的な雰囲気が暗くなったと思います。

なのでどうしたら僕たちがアミたちとこの空白期間に交流して離れているけどお互いの状況を共感しながらまた日常で元気を取り戻して力を得られるかなとたくさん悩みました。それでシュプDも帰ってきました。 

 ※アミとはARMY(BTSファンの名前。"Adorable Representative MC for Youth"の略。) のこと

そこから、Twitterで事前に募集したアミたちからの質問に答え、リアルタイムで寄せられた質問に答え、1時間ほどで「お疲れさま、今日も」という優しい締めくくりを迎えました。配信時は字幕もなくてなんて言ってるか全然わからなかったけど、その声を聴いてるだけでなんだか安心してその日は落ち着いて寝ることができ、それからこの4月25日の初回は、眠れない時の子守歌になった。

あの頃一番辛かったのは、眠れない時に音楽を聴けなかったこと。物音も身体に響いてしんどく、楽器の音もダメだった。毎日暇さえあれば音楽を流して生活しているわたしにとって、それはとんでもなく苦痛でした。

でもSUGAさんのラジオだけはなぜだか聴けた。眠れない夜は決まって再生して、泣きながら目を閉じる。いつも最後まで聴くことなく気づけば朝だった。 

このラジオは6月13日のBTSデビュー記念日まで毎週、メンバーひとりを週替わりゲストとして招き配信されました。 今年は本当に…この꿀FMにどれだけ救われたことか。最近また夜眠るときに聴いています。彼の話す声にはヒーリング効果があるなと思うくらい、いつも安心できる。 

 

行動と言葉で寄り添う人 

BTSのメンバーそれぞれにたくさん影響を受けたり励ましをもらっていますが、ことSUGAさんから受けたそれは本当に大きいなと、しみじみしています。

 

たとえば10月、BTSのPOPUP SHOPを訪問した際にSUGAさんが履いていたスニーカーが話題になりました。

 久しぶりにファンの前に姿を見せる機会にこのLGBTQコミュニティ支援モデルを履いて現れたSUGAさん。

 

 たとえば4月25日のラジオで質問に答えた時のその優しさ。

わたしがあの初回を特に愛しているのは、SUGAさんの温かさがたくさん詰まっているから。メッセージのひとつひとつに相手に寄り添って返事を返すSUGAさん。

「まだ夢がありません」という人に

「夢がない人もいます。僕が20歳21歳だったら『夢がないなんてありえない」って言ってたけど、28歳、今僕が言いたいのは夢がなくても大丈夫です。」

「夢を諦めました」という人に

「どんな事情があったのか分かりませんが、かなりの勇気を出したと思います。果敢な諦めはものすごい勇気です。お疲れさまでした。」

「どうすれば情熱的に生きられますか?」という人に

「必ず情熱的にならないといけないんでしょうか?毎瞬間燃え尽きるべきでしょうか?選択は本人の役目ではありますが、果たしてそれが幸せと関係があるんでしょうか。願いが叶うことが自分に多くの満足感を与えて幸せになるなら情熱的に生きるべきだと思います。でも、そうじゃなくて穏やかな部分から情熱を…穏やかな部分から幸せを感じて、心が楽なことが本当に自分の幸せの一つであるならあえて情熱的に生きる必要があるのかなと思ってもいます。」

SUGAさん自身は夢のためにずっと情熱的に生きてきた人だと思うし、もっと若い頃は、自身も答えていたように「夢がないなんてありえない」と思っていたんでしょう。でも28歳(韓国は数え年)になって「夢がなくても大丈夫」と言えるし、夢を諦めた人に「すごい勇気です」と労えるし、「必ずしも情熱的に生きる必要はない」と言える。その柔軟さ・寛容さが本当に好きです。

 

 

 

不安や痛みを打ち明けられる人

SUGAさんは11月頭に左肩の手術を受け、今も長期療養中です。

デビュー前の事故で左肩を痛め、その後遺症と長年ずっと付き合ってきたそうですがその痛みも年々増すばかり、この先も活動を続けるためにと手術を決意したそうです。

そのニュースを見た時は彼が長らく付き合ってきた痛みや不安から解放されるのだという安堵と、そんな痛みを抱えながらずっと活動していたことへの上手く言葉にならない感情、そしてアルバムのカムバックスケジュールの多くが7人ではない寂しさを感じました。

11月20日のカムバックの配信ライブではパネルを用意され、事前収録されたコメント映像、さらには電話出演していたSUGAさん、過去にもスケジュールの関係や入院などで6人だったことはあるようですがわたしには初めての6人少年団…正直、めちゃくちゃ寂しかったですし今も寂しいです…

最初は事前収録したパフォーマンス映像が放送されていたのであまり寂しさを感じなかったけど、最近の年末授賞式では6人のパフォーマンスなので、パフォーマンスが最高であればあるほど「ここにSUGAさんがいてくれたらどんなに素晴らしかったか」という気持ちが拭えませんでした(それはきっと他の誰が抜けてもそうなんだという気持ちももちろんあります)。6人はパフォーマンスでSUGAさんの存在をアピールしたり、授賞式でも事あるごとにSUGAさんに言及したり、円陣組む時一人分空けたりしていて、それを見るたび胸がいっぱいになります…。

 

アルバムが最高すぎたので余計SUGAさんの不在にめそめそしていたら、なんと翌日本人が宿舎から一人で配信してくれました。

 

 画面をつけてSUGAさんが現れた瞬間、泣いてました。ファンの前に姿を見せてくれたのは術後初、左腕には愛犬ホリーちゃんが入ってるくらい(本人談)大きなサポーターを着けていました。

一時間ほどの配信の中で左肩の手術前後の状態やなぜ手術しようと決意したのかについても隠さず詳細に打ち明けていたSUGAさん。彼が自分の不安や痛みをあまり隠すことなく打ち明ける人だということに改めて気づきました。

「まずコロナ(原文ママ)で公演ができない状況プラス、僕はこの腕、この肩プラス、今、精神的にベストとは言えません。僕も活動もしたいし公演もしたいです。」

「正直補助具をつけている姿はあまり見せたくなかったんですが、心配させるので。でも僕の姿が全然見えないから心配してらっしゃったのでちょっと来ました。」

 

 「精神的にベストとは言えません」ってはっきり言うのは、そんなに簡単なことじゃないと思います。まだ補助具が取れない状態でファンの前に現れて肩の状態を正直に話したこともそうですが、ファンはどうしたって心配してしまうわけで…でも心配されることは承知の上で…心配させるから補助具がついた姿はあまり見せたくない、でも「姿を見せることで安心させる」という選択ができるSUGAさんの優しさと強さを感じました。

 

SUGAさんは少し前のesquire誌インタビューでもこんな風に話していました。

「男らしさというものを、ある種の感情や特性によって定義する文化がありますが、ぼくはその手の表現が好きじゃありません。男らしいって、一体どういう意味なのか?体の状態は日によってさまざまです。いいときもあれば悪いときもある。それによって自分の健康状態を判断するわけで…。心もそれと同じ。状態がいいときもあれば、悪いときもある。多くの人は大丈夫なふりをして、自分は”弱くない”って言うでしょう。まるで、そう口にすると弱い人間になってしまうみたいに。それは間違っていると、ぼくは思うんです。体調が悪くても、誰もきみのことを弱い人間だと思ったりしません。心についても、そうあるべきだと思うんです。社会はもっと、それに理解を示すべきだと願っています。」

今年心理カウンセラーの資格勉強を始めたというSUGAさんはメンバーの中でも特にメンタルヘルスに関して関心の高い人です。そうやって心の不調をきちんと認められる人だし、必要だと感じるなら不安や痛みを打ち明ける選択ができる、その姿勢を本当に尊敬しています。

メンバー最年長のJINくんは「ファンの皆さんには良い姿だけを見せたい」「僕は自分の悲しい感情をファンの皆さんと共有したくない」と言っています。わたしはJINくんのその姿勢もとても好きだし、SUGAさんとどちらが良いかということを考えたことはありません。2人がそれぞれの想いとスタンスをきちんと選べていることが嬉しいなと思っています。

 

社会における様々な立ち位置の人たちに寄り添って考えられるSUGAさんを見ていて、2年前から始めた資格試験への向き合い方にも変化が起きました。

そのうち転職するために手に職をつけておこうと思って始めた資格の勉強。資格も何もなかったわたしは「これなら持ってて使えそう」という軽い気持ちで選びました(内容が難しく多岐に渡るためのちにそれは誤りだったと気づきますが)。そうやってなんとなく、理由もなく始めた勉強だったけど、SUGAさんの「将来慈善活動に携わりたい」という話や、メンタルヘルスについての言及なんかを読んでいて、少しずつ意識が変わりました。

元々政治的なことや社会福祉に関することにも関心はあったけど、自分のやっている勉強が誰かのため―とりわけ社会で弱い立場に置かれる人たちのためになるんじゃないかと気づきました。

 かくして、手に職のために始めた勉強は小さいけどしっかりとした目標になりました。なかなか受からないけど、来年こそ受かるべく勉強を続けています。

付箋に書いて机に貼っているSUGAさんのメッセージは「三日坊主を300日ほど続ければいいんです。3日実践して1日休んでまた三日坊主、そうすれば最終的に300日経ちます。」というもので、わたしは本当に一つのものが続かない性格なんですが、できない日があってもこの言葉をお守りにしてまた始めるようにしています。

 

他にもーこれはSUGAさんに限った話ではないですが、彼らに出会ってから寄付するハードルがすごく下がりました。自分の誕生日の時以外でも寄付をする姿を見ていて、わたしにもできることできる範囲でやろうと思うようになりました。今年は今までで一番寄付活動をしたと思います。少額ですが色んな団体に。フットワークが軽くなった、という感じです。来年のSUGAさんの誕生日に寄付できるように半年くらいそれ専用貯金をしています、それはこの先もずっと続けるつもりです。

韓国はアーティストやそのファンダムが率先して慈善活動や寄付を行なっているのがすごくいいな、と思っていて、今度日本の推しの誕生日にも寄付しようと思っています。

 

おわりに 

2020年は本当に大変な一年だったけど、彼らに本当に支えられたなと思います。

ライブハウスでバンドのライブを観て10代20代を過ごしてきたわたしが、まさかアイドルを推すようになるなんて想像もしてませんでした。でも大人になってからでもたくさんの励ましをもらって、この先もずっとほどけないんだろうと思っていた絡まりをほぐせるようになりました。人はいつからだって良い方に変われるし、そのきっかけはどこにあるか分からないんだって彼らを好きになってからずっと感じています。「人はいつだって学びより良い方に変われる」ということもまた彼らの姿勢から学んだことです。

RMが言ってました。「ただ善い人でありたい」って。わたしもそう思う2020年でした。2021年はそれにまた少しでも近づけるように、自分のできる範囲でできることをやろうと思います。そして落ち着いたら必ず彼らのコンサートに行きたい。いつかあの紫の光の海のひとつになりたいです。

 

ものすごく長くなってしまったのですが、最後まで読んでくださった方、本当に本当にありがとうございました!みなさんもどうか健康に気を付けて、生きていきましょうね。春は来るし、夜も明けます。森のこだまのように、きっと日々が返ってきます。

もし気になるなという方がいたら、渾身のお勧め動画をいくつか置いておきますのでぜひ観てみてください。

 

ジェームズ・コーデンの番組The Late Late Showでのパフォーマンス。

Life Goes On~Dynamiteがひとつに繋がっている素晴らしい動画なので続けて観てほしいです。

座った状態でのDynamiteパフォーマンス。

左からJ-HOPE、SUGA、JUNG KOOK、V、JIN、RM、JIMIN

ジミー・ファロンの番組The Tonight Showでのパフォーマンス。

わたしはこの曲のパフォーマンスが死ぬほど好きなので最後に…

 

 

明日のアドベントは、オザキさん・みのもさん・ばっこさんです~!

 

―――――

 

 

 

 

 

*1:2018年9月、NYの国連本部で、世界中の若者たちに向けて「自分自身を語ろう」というスピーチを行ったもの。詳細はユニセフHPで。こちらでスピーチの全文が読めます。

世界中の若者たちへ BTSが国連総会でスピーチ 「自分自身のことを話して」 (unicef.or.jp)

*2:TIME誌が選ぶ2018年の顔の一組として選ばれ表紙を飾ったもの。

*3:Weverse…ファン同士・ファンとアーティストがより身近に交流できる公式ファンコミュニティSNSBTSだけでなく複数のアイドルグループのコミュニティがある。

BTSはメンバーが投稿したりファンの投稿に頻繁に返信してもいる。

https://en.wikipedia.org/wiki/Weverse (Wikipedia)