わたしの夜明けの青のひとへ

 

 3月9日はBTSのSUGAさんのお誕生日です。

 

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BTSの次兄、ラッパーで作詞作曲家でプロデューサーでもあるSUGAさん、29歳のお誕生日おめでとうございます。

世界中でSUGAさんのセンイル企画が行われていてその様子を眺めて自分の誕生日よりわくわく嬉しい気持ちを味わっているところです。

 

はじめに

この記事は7人の中でほんの少しだけみんなよりSUGAさんのことが好きな人間が、彼から貰った贈りものたちについて自分の話を交えながら綴るものです。SUGAさんの素敵なエピソードというより、この一年彼から貰ったものを通して自分がどんなことと向き合い、どんな自分になりたいと思ったかについてのお話がほとんどなのであまりお誕生日のお祝いに相応しくないかもしれません。でもお誕生日を機会に自分の感情を整理したかったという気持ちでこれを書いています。

歌詞などの翻訳はPapago翻訳サイトを使用しています。そのため少し角のある日本語訳かもしれませんがおおまかな訳として載せています。

 

目次

 

 

最初に惹かれた曲ーInterlude:Shadow

 2019年12月にBTSと出会ってから初めて迎えたカムバック―"MAP OF THE SOUL:7。

 

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あの頃はまだ「メンバーが曲を書いたり歌詞を書いたりしている」ということをぼんやりとしか捉えていなかったので、あのアルバムを聴き始めてから歌詞の意味を理解したいと思うようになったくらいだった。

そしてゆんぎのソロ曲"Interlude:Shadow"を聴いた時、韓国語は分からないけど聴きとれた英語に胃のあたりがぎゅっと縮まったような感覚がした。

 

日本語字幕は出ないけど英語字幕は出せます

 

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Please don't let me shine

Don't let me down

Don't let me fly

 

この一節だけでもう十分の衝撃で、そのあと翻訳されてた方の歌詞を読んで更にずしんと重たい衝撃を受けた。アイドルが決して華やかなだけの世界にいるわけじゃないだろうとぼんやり分かっていても、それを改めて曲として聴かされると震えてしまった。

 

두려워 높게 나는 게 난 무섭지 怖い 高く飛ぶのが怖い

아무도 말 안 해줬잖아 誰も言ってくれなかったじゃん

여기가 얼마나 외로운지 말야 ここがどんなに寂しいところか

나의 도약은 추락이 될 수 있단 걸 俺の跳躍は墜落になるってことを

 

나의 바람대로 높게 날고 있는 순간 俺の望み通り高く飛んでいる瞬間

저 내리쬐는 밫에 더 커진 그림자 あの照り付ける光にもっと大きくなった影

Please don't let me shine 

Don't let me down 

Don't let me fly

이제는 두려워  今は怖い

 

가장 밑바닥의 나를 마주하는 순간 一番底の俺に向き合う瞬間

공교롭게도 여긴 창공이잖아 あいにくここは青空じゃないか

Please don't let me shine

Don't let me down

Don't let me fly

이제는 무서워 もう怖い

Don't let me shine

 

みんながはしゃいでる時ひとり外れたところで座ってる、いつもぼんやり眠そうに見える、「来世は石になりたい」とまで言う―それまでわたしの中のゆんぎのイメージはそんな感じで、どちらかというとあまりアイドルっぽくない印象だった。少なくともわたしが今までぼんやりと抱いていたアイドルのイメージとは違っていた。

Shadowを聴いて、この人はアイドルでもありアーティストでもあるんだと、高みへ昇りつめたひとが抱く孤独と恐怖をこんなにも切実に曲にする人なんだとその時感じた。それがわたしにはとても新鮮だった。

 

どうして”そこ”に立っているんだろう―そんな風に気になったのがゆんぎに惹かれた始まりだった。

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青色で満ちたひと―SUGA's Interlude

 

青色で満ちた俺の頭はさまよっている 

 

Halseyが2020年にリリースしたアルバム”Manic”に収録されている"SUGA's Interlude"でゆんぎはこうはじめる。

 

youtu.be

こちら公式MVに日本語字幕ついてるので歌詞はそこから引用しています。

 

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 HalseyとBTSのコラボが本当に好き、また共演してほしい。

 

わたしにとっての青色―安息の海の色であり最も暗い瞬間を過ぎた夜明けの色であり、彼の色でもある。

 

COVID-19禍ですべてのツアーがキャンセルされたBTSは、「メンバーが最も制作に携わるアルバムを作る」ことを発表しその過程をアミたちと共有しはじめた。そのひとつとしてメンバーたちが不定期にYoutubeにアップした様々な映像たちがある。作業室でPCに向かう姿、ダンスの練習をしている姿、みんなでミーティングしたり撮影に使用するカメラを選ぶ姿もあった。

ゆんぎが共有してくれたのは、大きなキャンバスに青い絵の具を重ねていく静かな映像だった。

 

youtu.be

 

わたし自身、青色が好きでよく使う。絵の具も刺繍糸も青色…たくさんの種類があるので少しずつ色の違う青色をたくさん持っている。

その中でもゆんぎがキャンバスに乗せていったあの色は、特に好きな色だった。重ねられてゆく暗くて濃い青色は、わたしにはどこか温かい温度を宿しているように感じられた。

そしてあの絵のタイトルを「朝」にしたと聴いた時、もう何度目か分からないほど感じた「この人のことを好きになってよかった」という想いを今までで一番強く感じた。この人にとってこの青は”朝”なんだって。明るいオレンジ色でも薄柔い水色でもなく、この黒と濃い青が混ざり合った色が"朝"の色なんだって。

 

あの日のわたしをすくってくれた曲―Tomorrow

 

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 ゆんぎが作った曲の中で一番好きなTomorrowを聴くたび思い出す景色がある。

16歳から大学を卒業するまで住んでいた家から見える空の景色。遮るような高い建物がなく、そこからは広い空と遠くに境界の山々が見えた。そこから見る朝焼けと日暮れ。空がほんの少しの間濃い青く染まる。空の境は薄柔い青と赤が溶けるように混ざる。

そういう空を「ブルーモーメント」や「ブルーアワー」と呼ぶんだそう。

夜明け前と夕焼けの後のわずかな隙に訪れる、辺り一面が青い光に照らされてみえる現象。天気が良かった雲のほとんど無い、または全く無い空気の澄んだ日にだけ現れる。(wikipediaより)*1

 

あの瞬間―空が青く染まっている朝焼けや夕暮れの心許なさや寂しさを、Tomorrowを聴くたび思い出す。

学校へ行くのが嫌だった時、何が辛いのか自分でも理解できず説明もできず絞り出すように忌避される方法でしか表現できなかった時、壊れてしまっていた関係性の中で気づかずに過ごしていたと後悔した時…Tomorrowの歌詞をほどいてみて、その頃の自分をすくいに来てくれたのかと思った。 

해가 뜨기 전 새벽이 가장 어두우니까 日が昇る前の夜明けが一番暗いから

먼 훗날에 넌 지금의 널 절대로 잊지  마 遠い未来に君は今の自分を絶対に忘れるな

지금 네가 어디 서 있든 今君がどこに立っていても

잠시 쉬어가는 것일 뿐 ひと休みするだけ

포기하지 마 알잖아 諦めるな、分かるだろ

 

 どこにも行けなくて窓の外へ降りて終わらせることばかり考えていた自分、痛みに鈍感になって諦めていた自分、それでもなんとか生き延びた自分…大人になってからあの頃の自分をすくってくれるような音楽に出会えると思っていなかった。

そんな記憶を思い出すからか、わたしにとってのゆんぎは「夜明けの青みたいなひと」だ。ブルーモーメントは昼と夜、夜と朝の隙間にほんの少し現れる空のことだし、ゆんぎはわたしに朝を連れてきてくれたひとだと以前ぽっぽアドベントで書いたけれど、その意味も含めて彼は「夜明けの青」みたいな人だと。

 

 2020年の「変わったこと/変わらなかったこと」について書いたアドベント記事です。後半からゆんぎのお話を書きました。

 

 

「出会った日がデビュー日だから」―Bang!Bang!Con!メッセージカード

 

6月に配信されたオンライン公演「Bang!Bang!Con!」のグッズのひとつだったメッセージフォト。4種類からランダムで1種類、そして7人のうちひとりだけ裏面にメッセージの書かれたゴールドカードがランダムで封入されている仕様だった。Twitterでゆんぎのゴールドカードのメッセージ内容をシェアされている方がいてそれを先に読み、どうしてもそのカードだけは欲しいな…と思っていたら自引きできたという嬉しいことがあった。

 

 

 メッセージにはこんな風に書かれていた。

今も記憶が鮮明です。

デビューした日、ファンの皆さんの応援・歓声がついにデビューしたんだなという感情。

今も舞台に上がるとき、似たような感情を感じます。

最初から一緒じゃなくても毎瞬間デビューみたいだから残念がらないでください。

 

 以前、(記憶が曖昧で正確な公演名は思い出せないのですが)有名なテヒョンの「紫します」が生まれた公演や、WINGSツアーファイナル公演の映像を観ていて正直にいいなと羨ましく感じたことがあった。色んなことがあって、その度アミたちと乗り越えてきた彼らの大切な想い出がある。

あの紫の光ひとつひとつ、ひとりひとりのアミたちがいたから今自分がこうして彼らと出会えていると思うととても感謝したいし、「わたしたち一緒なら砂漠も海になる」という素晴らしいスローガンを掲げたアミたちを羨ましく思ってしまう気持ちも当然あった。

でもゆんぎはそんな風にメッセージを贈ってくれた。そうやってまたひとつ、心に沈んでいる錘を引き上げてくれる。

 

 

「僕みたいな子たちに会ったらその時言ってあげたい言葉があってほしいから」―꿀FM

 

www.vlive.tv

 

 ゆんぎのお誕生日、どこに寄付をしようかずっと考えてきた。

彼の姿勢に関連したところにと色々考えながら、去年の冬先述したぽっぽアドベントの記事を書くために4月のラジオ配信の文字お越しをしていてふと手を止めた箇所があった。

それはアミからの「どうして心理カウンセラーの資格を取りたいのか」という質問に答えたところだった。

僕みたいな子たちに会ったらその時必ず言ってあげたい言葉があってほしいから?

すごくたくさん考えて、そういう子たちと会ったらどんな形であれ助けになりたいから。

 

そういえば以前の誕生日にアミの名前で小児がん財団に寄付していたな、と思い出した。 *2

 ほかにも、日本語記事を探せなかったけど子どもの施設にお肉を寄付した話もあったな、と思い出して(本国の記事は見つけました)*3子どもたちに関する団体への寄付をしようと決めて、今年はどうしてもふたつの団体に寄付したい理由があったので二か所に寄付手続きをした。ひとつは朝鮮学校、もうひとつはLGBT(かもしれない人を含む)子どもたちの居場所を作る支援団体。

 

ゆんぎを好きになってからよく考えるようになったのは「自分はどんな自分でいたいだろうか」ということ。"LOVE MYSELF"とも近いけど、目を背けているべきでないことと自分はどう向き合ってどんなことができるのか、ということを以前にも増して考えるようになった。

さっき「ゆんぎは夜明けの青」だと書いたけど、もうひとつわたしにとってのゆんぎ、というものがある、それは灯台

灯台は暗い航海の中で道しるべとなってくれる光だけど、ゆんぎもそんな風に人生という航海を照らしてくれる存在だと、この一年折に触れて思う。でもその航海のガイドをしてくれるっていうわけじゃなく、あくまでどの道を行くか・どんな選択をするかは自分が決める。その決めた道をちゃんと進んでいけるようにと照らしてくれるのがゆんぎだと思う。

色んなタイミングでアミたちの質問に答えるゆんぎは、アミたちの選択の幅を狭めないような言葉の選び方をしている。昔はそうじゃなかったみたいだけど、わたしが出会ってからの彼の返答はそういうものが多い。

 

さっきのラジオ配信でもうひとつ、印象的だった返答がある。

「最近卒業して就職のためにすごくストレスが溜まっているんですが好きなこと、わたしができることを見つけるのがとても大変です。どうしたらいいですか。」という質問に、ゆんぎはこう返答した。

(中略)僕もいつも考えてます。それと好きなことがある瞬間好きじゃなくなることもあります。自分ができることをが自分だけができることかもしれません。このバランスをしっかり掴まないといけないと思います。努力だけでできる問題ではないと思うし。打ち寄せる波の中で浮かんでいる船になってください。うまく乗り越えられると思います。すみません、答えを言えなくて。昔だったら「好きなことをしてください、どっちがよりあってると思いますか?できること?それならできることをやってください。」と思ったかもしれませんが、その答えも僕が出すことではないので。皆さんの心の中にあるはずです、その答えは皆さんが知ってると思います。その答えを知ってるから、自分ができることが、自分だけができることになるかもしれないし。

 

ゆんぎの、こんな風にどんな人のこともこぼさないように言葉を選んでくれる姿勢が好きだ。そんな言葉たちはわたしの心の中で流されないための錨になってくれている。

 

ゆんぎがVANSのLGBTQコミュニティへの敬意を込めた限定モデルを履いていたことも*4、「男らしさ」について言及したことも*5、同性愛についてのコメントを求められて「There's nothing wrong. Everyone is equal.」と言ったことも*6

そういうひとつひとつの行動や発言を時折思い出す。そしてまた自分に問いかける瞬間・選択をする瞬間・その先へ進もうとする瞬間にわたしが流されないための錨になったり道を照らしてくれたりする。

 

 

 

 

 

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 お誕生日おめでとう。

 ゆんぎがひとつひとつ選択してきたこと―良いことも悪いことも嬉しいことも辛いことも―そのすべてのお陰でいまのゆんぎがいてくれることを本当に感謝しています。

どうかこれ以上怪我もなく健康でいられますよう、あなたが足をおろす場所が少しでも泥濘のないところでありますように。今はまだスケジュールでいないこともあるけど、また左手でマイクを握って最高のパフォーマンスができるゆんぎを観たい、という気持ちを抱いて待ってます。

音楽と出会ってくれて、BTSのSUGAになってくれてありがとう。諦めないでひとつずつ夢を叶えてここまで来てくれてありがとう。